今さら聞けないインド・パキスタンの争いの現代史&若手インド人はこの戦いをどう思っているの?

皆さん、ご存知の通り、2月半ばからインドとパキスタンの関係が緊張しています。
インドとパキスタンは基本的に不仲ですが、「何が原因」で「過去にどんな争いがあったのか」「今回は何が問題なのか」をサクッと答えられる人は少ないと思います。

 

そこで、「今さら聞けないインド・パキスタンの争いの歴史」をまとめつつ、「今回の争いって何事?」と事実確認を行い、最後には「インド人若者はこれについてどう思っているの?」などを伝えていきたいと思います。

 

インド&パキスタンの争いの現代史

1858年以降、イギリスはインドに成立させたインド帝国を植民地支配していた。このインド帝国に現在のパキスタンやバングラデシュも含まれていた。

1947年:インドとパキスタンは英国領から分離・独立
→当時インド国内に565あった藩王国のそれぞれの藩王がどちらの国に参加することを決めなければならなかった。ムスリムが人口の大多数を占めるジャンムー・カシミールにおいては、ヒンドゥーの藩王によって統治されていた。この地域をめぐってインドとパキスタンが衝突。結果的に、インドに帰属することとなった。

1948年:第一次印パ戦争
→カシミール地方領有をめぐって武力衝突。国連の仲介によって停戦し、その停戦ラインによってカシミールは分割された。

1965年:第二次印パ戦争
→カシミール地方の領有をめぐって、武力衝突。国連の仲裁で停戦した。

1971年:第三次印パ戦争
→東パキスタン(現在のバングラデシュ)が、西パキスタン(現在のパキスタン)から独立するため、戦争を開始。インドは東パキスタンを支援し、西パキスタンと戦争。(これにより、東パキスタンは独立し、バングラデシュとなる)

1974年:インドが初の核実験

1998年:パキスタンが初の核実験

2001年:インドの国会にてテロ
→インド側のカシミールの国会が攻撃され、38人が死亡。2カ月後にインドの首都デリーの国会議事堂が攻撃され、14人が死亡。

2008年:ムンバイで同時多発テロ
→ムンバイの主要駅や高級ホテル(タージマハルホテル)などが同時に攻撃され、166人が犠牲となった。

2016年:インド北部の空軍基地が4日間にわたって攻撃
→インド側13人が死亡。

2016年:カシミール地方のインド軍駐屯地が攻撃
→インド兵19人が死亡。

※上記は、死者が多かった大きな出来事です。これ以外にも、規模の小さいテロ等は起きています。

 

押さえておきたいポイント!!
・印パの争いの一番の原因は、「カシミール地域の領有権争い」
・インド国内のテロは、パキスタン国内のムスリム過激派によるもの。
・パキスタンの過激派・パキスタン軍・パキスタン政府は癒着でズブズブ(らしい)。
→インド国内のテロに関して、インドはパキスタン政府に過激派を取り締まるよう警告してきたが、パキスタンは無視してきた。
パキスタンもインドも核を保有している。

 

 

 

 

今回の事件って何が起きたの?

事実を確認!
2月14日、
インドの支配地域スリナガルでパキスタンのイスラム過激派ジェイシモハメドが引き起こした自爆テロで、インド中央予備警察隊員ら40人以上が犠牲となった。2月26日、
インド空軍が国境を越えパキスタン国内へ。イスラム過激派ジェイシモハメドの主要訓練施設を破壊した(とインド軍は主張)。直後、インド政府高官は、「約300人の武装勢力が殺害された」と記者団に語った。が、この声明を後に撤回。実際は森林に爆弾を落としただけで、死傷者は出ていない。

 

インドとパキスタンのいざこざは、これまでもずっと起きていましたが、
この停戦ラインを超えた空爆は、1971年の第3次印パ戦争以来、初めてであるため、
今回は、「一歩踏み出しちゃった感」がありました。。。

 

また、今回の印パ緊張の中で、ポイントとなるのは、「インド総選挙が近い」ということ。
当初、当選確実とされていたモディ首相ですが、「もしかしたら続投が危ないかも。。」と囁かれ始めていました。

パキスタンのムスリム過激派によるインド国内でのテロは、「モディ首相にとっては好都合」でした。モディ首相はこの機会を存分に生かし、国民の期待に応えてパキスタンを空爆したとも言えます。

 

 

インドの若者は、今回の事をどう思っているのか?

平和ボケしている典型体日本人の私は、「戦争なんてやめて、話し合いで解決しようよ。。。」って思ています。しかしまあ、自国の隣に停戦中の国があれば、こんな平和ボケとは違う意見が生まれて当然です。

今回のインドとパキスタンの緊張状態の中で、私はインド人の愛国心に驚かされました。
「パキスタンへの攻撃万歳!よくやったインド!」というタイプの反応が多く、「戦争はやめようよ」というタイプの反応が少なく感じました。

そこで、実際にインド人の若手(インテリ層)はパキスタンや今回の攻撃についてどう考えているのか気になり、友達にインタビューしてみました。

まずは、20代前半の女の子。
日本語N1レベルで、日本企業で働いている秀才です。
重要な政治家の通訳をした経験もある彼女に、意見を聞いてみました~!

20代インド人女性
私はこの戦争は、正気の沙汰じゃないと思う。

私も含め、ほとんどのまともなインド人は、メディアが怒りや憎しみを煽っていて、これが多くの犠牲を招いてしまうと思う。メディアは自分たちが視聴率を上げたいだけ。

そして、私も驚いたんだけど、インド人の若者の多くが私と同じようにこの戦争に反対している。Facebookにでは、「戦争は平和をもたらさない!」「戦争したいなら、自分の子供を戦線に送れ」という趣旨の投稿であふれている。

パキスタンの若者もインドの若者もガンディーの非暴力の考え方を支持していて、これは大きな第一歩だと思う。だから、インドとパキスタンの関係について、今後の希望が持てるなあと感じた。

なるほど。
(私はあまり気づいていなかったけど、)インド人の若者はこの戦争に反対している人が多いとのこと。そしてこれは、過去にはなかったことだから、とても良い変化だと冷静に分析してくれました。

これらは彼女が送ってくれたFacebookの投稿です。

ほっこりしますね

 

お次は、彼も日本語はペラペラの20代のインド人男性。
彼は、歴史や政治にとっても詳しい人です。
彼の意見も聞いてみました~

20代インド人男性
僕は、戦争そのものには反対だ。
だけど、今回の攻撃は当然だと思う。

パキスタンのムスリム過激派はこれまでインドで多くのテロを行い、多くのインド人を殺してきた。インドはその度に話し合いで解決しようと努めてきた。

インドは、テロの犯人がパキスタン人であることを、パキスタン政府に訴えて、犯人を捕まえるように依頼してきたが、パキスタン政府は何もしなかった。パキスタン軍や政府は、過激派を擁護している。軍の権力が強く、政府は軍の言いなり。

アメリカ同時多発テロの主犯格、ウサマ・ビンラディンは、パキスタンで身を隠していた。これはパキスタンのムスリム過激派、つまりはパキスタン軍の支援があったと考えられる。つまり、世界で起きているムスリム過激派のテロをパキスタンは結果的に支持しているのと同じだ。

話を戻すと、パキスタンのインド国内のテロに関して、インドはずっと辛抱して話し合いで解決しようと努めてきた。しかし、それではパキスタンは対応をとらない。モディ首相は国民の感情を代弁して今回大きな行動に出た。

パキスタン側に攻撃をしたが、狙いはあくまで過激派の拠点。
一般人を狙ったものではなかった。
だから、今回の攻撃は、当然だし効果的だと思っている。

これを機に、パキスタンはムスリム過激派の取り締まりに踏み出してほしい。

 

なるほどね~。
これまで話し合いで解決しようと努めてきたが、それではパキスタンの対応が一向に変わらないから、今後のテロをなくすためにある程度の攻撃が必要だったのだと感じているわけだ。

 

 

 

まとめ

 

インド・パキスタンの歴史と、現状に関するインド人若者の意見をまとめていました!

インドもパキスタンも、核戦争に発展したらどちらの得にもならないことは熟知しているはず。(だよね。。。。?)

インドは、パキスタン空爆という行為に満足しているだろうし、パキスタン側は結局誰も死んでいないため、さらなる報復をするほどではないはず。
そのため、このまま鎮静化するのではないかな?と思っています。

今後の展開に注視していきます。。。

おしまい。

・大阪大学ヒンディー語専攻卒業 →1年半インドに留学(その間大学は休学) ・現在外資系コンサルタント1年目