あなたは、仮説思考してますか?
「仮説思考。。。?何それ?」と言う人がほとんどだと思います。
この仮説思考と言うのは、文字通り「仮説を立ててから考える」という、コンサル業界で当たり前の様に使われている「思考法」です。これができるようになると、短時間で精度の高い思考ができるため、コンサルの様な「思考力」を売ることを生業にしている職業には必須と言われています。もちろん、この思考力を身につけると、コンサル以外のあらゆる局面でも、成功する確率が上がります。
私は、新卒でPwCという外資コンサルに入社しました。
新人研修の時に、「必読本」リストに入っていたのが、この「仮説思考」と言う本です。
研修の中でも、この思考法を繰り返し練習させられました。
もし、あなたが今後コンサル業界で働きたいと思っているならば、この本を絶対に読んでください。
読まないと、現場でついていけない可能性が高いです。
そして、この「仮説思考」は、気取ったコンサル野郎が大好きな言葉です。
気取ったコンサル新人は「君、仮説思考してる?」とかいうツッコミを、飲み会の席でしてしまうので、すぐに女子から嫌われてしまします。「コンサルの男子は意外とモテない」と言う話は、よく聞きますね(笑)まあ、と〜ってもモテる人もいますので、人それぞれですが。
さて、この外資コンサルの意識高い系が大好きな「仮説思考」と言う本はどんな内容なのか?
この思考法をすると、なぜ、良いのか?などを紹介していきたいと思います!
「仮説思考」の著者:内田和成
仮説思考の著書、内田和成さんは、コンサル界ではかなり有名です。
彼は、BCG(ボストンコンサルティンググループ)に勤務し、この仮説思考を習得しました。
この本の表紙にも、「BCG流 問題発見・解決の発想法」と会社名が明記されていて、「仮説思考はBCGが考えたものだよ!」とアピールしています。彼の経歴を見ていきましょう。
〜略歴〜
- 東京大学工学部卒業
- 慶應ビジネススクール修了 (MBA)
- 日本航空
- ボストン コンサルティング グループ (BCG)
2000年6月から 2004年12月まで BCG 日本代表。
ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心にマーケティング戦略、新規事業戦略、中長期戦略、グローバル戦略の策定、実行支援を数多く経験。 - 2006年度には世界の有力コンサルタント、トップ25人に選出
- 早稲田大学商学学術院教授(専門は、競争戦略、リーダーシップ論)
輝かしい、経歴ですね。。。
なぜ、仮説思考が必要なのか?
ビジネスにおいて、「情報が多ければ多いほど意思決定ができる。だから、できるだけ多くの情報を集め、それらを分析してから解決策を出すべきだ。」と考えている人は多いです。
もちろん、しっかりと情報を集めて分析することは大事です。
しかし、この方法には、問題点があります。
それは、「時間がかかる」こと。
どんなに頑張って調べても、時間切れになって結論が出なければ意味がありません。
「徹底的に調べてからじっくり考える」方法は、実際のビジネスの世界では無理である場合が多いのです。
では、どうすれば良いのか?それは、少ない情報で、短時間で結論を出す思考法を行うのです。
「情報が十分にないのに、物を考えても、質の高い結論は出ないはずだ!」と思う人は多いでしょう。
しかし、それを可能にするのが、仮説思考なのです。
仮説思考 vs.網羅思考
では、早速、仮説思考を説明していきます。
また、その反対の網羅思考についても紹介します!
仮説思考とは?
そもそも、「仮説」と言われても、ピンとこないと思います。
辞書には色々と乗っていると思いますが、コンサル業界では、「まだ照明はしていないが、もっとも答えに近いと思われる答え」と定義しています。
①何か問題を解決する時、まず、現状の情報をもとに「これが原因かもしれない、だからこの解決法が良いかもしれない」と言う仮説をいくつか立てます。
②ヒアリングなどを通して、立てた仮説が正しいかどうかを検証します。
③検証の結果、仮説が正しければOK。正しくなければ他の仮説を検証します。
これが、仮説思考の方法です。簡単でしょう?
仮説思考のメリット:
・問題解決のスピードが格段に早くなる
→無駄な情報を集めることに時間を費やさないから。
・ざっくりとした情報をもとに全体像から仮説を立てるため、大きく結論が外れない
→粒度の低い情報が沢山ありすぎると、惑わされてしまう。
・仮説思考を極めることで、見ただけで結論がわかるようになる。
→仮説思考を繰り返し行うことで、「成功への道」をすぐに見つけられるようになる。
仮説思考のデメリット:
・前程が間違っていたり、自分の考え方にバイアスがかかっていると、大きく離れた結論になる可能性がある?
(本書では、デメリットは書かれていないため、こちらは一般的な指摘です。本書では、「仮説が大きくずれていれば、検証の時点で気づくはずだと主張している。)
仮説思考の真逆の思考法、「網羅思考」とは?
この仮説思考の反対は、網羅思考(帰納法)です。
帰納法では、いくつかの事実を検証し、その事実から結論を導きだします。
①キムタクはかっこいいと認定
②松潤はかっこいいと認定
③亀梨和也はかっこいいと認定
④→ジャニーズはカッコイイと結論が出る
網羅思考のメリット:
・時間がふんだんにあり、全ての情報を収集・検証できれば、確実性の高い結論が出る(?)
例えば、上記の例でいうと、ジャニーズ全員を確認してイケメンであると認定したならば、「ジャニーズはかっこいい」は確実な結論である。
(時間が十分にある状況はビジネスにはないため、本書ではこのようなメリットの記載はない。)
網羅思考のデメリット:
・時間がかかってしまいます。
・「一部の粒度の低い事実から全体を推測する」工程であるため、一部の情報が全体と異なっていれば、結論が大きくずれてしまうこともあります。
仮説思考を実際に行う際のコツ・注意点
仮説思考を実行するにあたり、いくつかのコツと注意点を紹介します。
1.仮説の立て方は色々。定石はない。
「仮説はどこで生まれるのか?」というアンケートをコンサルタントに対して実施したところ、
1位:ディスカッションを通して(コンサルタント同士、顧客)
2位:インタビュー(顧客、フィールド)
3位:突然閃く
4位:じっくり考えている時
という結果が出たそうです。
中には、お風呂で閃くことが多いため、お風呂場の壁にメモ用の紙を張っているという、なんともコンサルタントらしい答えが返ってきたとのこと。自分はいつ仮説を閃くのかを把握しておくことも大事ですね!
2.仮説は間違っていても大丈夫。大したロスにはならない。
仮説を立てても、検証してみると間違いだったということは、著者のような熟練コンサルタントでもあるそうです。しかし、仮説が正しくないかどうかは1−2週間程度の短期間で判明する上、判明する頃には新しい&確からしい仮説の芽が出ていることがほとんどであるため、大したロスにはなりません。
3.仮説は自分だけで検証せず、周りの人に共有して反応を伺うべし。
仮説を周りの人に共有することで、「なんかしっくりこない」「こっちの方が正しいと思う」といった意見をもらえるはずです。こういった現場の周り人々の反応を通して、自分の仮説が確からしいかを検証することができます。
4.仮説を立てる前に、前程を疑うことも重要
例えば、上司やクライアントに、「売上が下がっているのは、営業が稼動できていないからだ。営業がもっと稼動できる策を提示しろ」と言われたとしましょう。言われたとおりに営業が稼動できる策を提示したとしても、売上は上がらないかもしれません。売上が下がっているのは、競合他社が競争力の強い商品を発売し始めたからかもしれません。その場合は、解決策は、「他社商品との差別化を図る」かもしれないし、「他社の価格を下回る」かもしれません。
上司やクライアントが言うことが全て正しいとは限りません。前程が間違っている可能性がある場合は、仮説を立てる前に前程を再確認することも必要です。
5.社内の恥は書き捨てと心得る
仮説思考を始めた最初のうちは、仮説のピントが合っていないことも多いでしょう。そのため、仮説をチームに共有するのが躊躇われることもあると思います。しかし、前述した通り、仮説は共有してこそ磨かれるものです。自分の成長のためには、「社内の恥はかき捨て」と考え、積極的に仮説を発信していくことが重要です。そうして、仮説の構築と周りによる検証を繰り返していくと、そのうち仮説の精度が増して、どんどん活躍できるようになるはずです。
「仮説思考」のまとめ
「仮説思考」という考え方、いかがでしたか?
もしあなたが、「今まで仮説思考なんてやって見たことがないし、できる気がしない」と言う場合は、まずは身近なことから初めて見てください。例えば、ニュース記事を読んだ時に、「これってどうして起きているのかな」といった小さな疑問に対して、「これが理由なんじゃないか?」と言うのを考えてみる。その後で、ネットで答えを検証してみる。
こういった、身近なことならば、できそうな気がしますよね?
また、この思考法にご興味を持った方は、この「仮説思考」の本を読んで、隅から隅まで読んでみてください。
ブログでは、要約として主に「ノウハウ」を書きましたが、本書では、実践的な「具体例」が沢山記載されています。
この具体例を読み進める中で、「なるほど、こういった場面で応用すればいいのだな」と言うのが、わかるようになってきます。1700円の価値は、絶対にあると断言できる良書です。
また、さらに仮説思考を極めたい方には、「論点思考」もオススメです。
こちらは、仮説思考の補足のような立ち位置ですので、仮説思考と内容が一部重複してしまっています。
しかし、「論点をどう定めていくか?」にフォーカスしており、こちらも大変勉強になります。
まずは、1冊読むなら、「仮説思考」のみ、2冊読むなら「論点思考」も読むのが良いでしょう。
仮説思考は、仕事や日常生活の問題解決を素早く行うために必須の考え方です。
人間として、より高みを目指して頑張りたい人は、ぜひ、読んで見てください!