新卒の新人コンサルタントって、バリュー出せるの?

経営コンサルティングというのは、他社のビジネスの問題を解決する事に特化した職業です。

会計系Big4(デロイト・PwC・KPMG・EY)や、IT系コンサルのアクセンチュア、戦略系のマッキンゼー等々、数多くのコンサルティングファームが、様々な分野でコンサルティングを行っています。

そして、上記のすべての会社は、「新卒」を採用しています。
大学を出たばかりの社会人経験のない人々です。

単純に、疑問に思いませんか?
「会社で働いたこともない人が、コンサルタントになって、人様の会社のビジネスの問題を解決することが出来るのか?」と。

私はPwCに新卒で入社しましたが、
「私にコンサルタントが務まるのかな?」と心配でした。

しかし、新卒研修をみーっちりこなし、現場に出てからも先輩がかなりしっかり指導してくれていたので、それなりにバリューを出していたと思っています。

私が受けた研修や、現場での実体験をもとに、「新卒コンサルタントって、他社のコンサルを本当に出来るの?」という疑問に答えていきたいと思います。私はPwCという会社で働いていたので、これから述べることはPwCでの実体験です。しかし、コンサルティング業界では同じような教育・システムだと思います。

※タイトルにある「バリュー」というのは、その人が提供できる「価値」という意味です。バリューを出す=コンサルティングで問題解決をする際に、価値を発揮してチームに貢献することを意味します。

 

コンサルティングファームは、即戦力よりポテンシャル採用

多くの会社が「即戦力」を求めていると思います。
コンサルティングファームも、「即戦力」を求めていると思いますよね?
しかし、私は、そうは思いません。

私は大学でヒンディー語を専攻し、新聞もたいして読んでいなかったので、ビジネスについては全く知りませんでした。しかし、面接でインドが大好きでインドで一年サバイバルしたことや、言語が達者であることを話したら、合格しました(笑)また、私には100人の同期がいましたが、本当に様々なバックグラウンドの人がいて、みんなが「ビジネス知識を持っているか?」と言われると、NOでした。少なくとも、PwCがビジネス知識に富んだ即戦力だけを求めているとは考えられません。

そもそも、即戦力が欲しいなら、新卒ではなく、中途を採用します。
新卒採用は、いわば、ポテンシャル採用なのです。(ポテンシャルに加えて即戦力があればもちろんベストです。)

では、どんなポテンシャルを持った人がいたかというと、、、
ー地頭がいい人←これは必須条件
ー海外との接点が多く、異文化に強い人、サバイバルスキルがある人
ー体育会系でストレスに強い人
ー人間関係の構築が上手な人

等々、、多岐にわたります。

コンサルティングは、チームで行います。
ほとんどの場合、2人~20人くらいのチームで、1つの会社のコンサルティングを行います。
この時に、同じような人の集団ではなく、色んな才能を持った人がいたほうが、チームとしての力を発揮出来ます。
そのため、新卒採用でも、自頭の良さに加えて、「どんな才能・スキルがあるか?」が問われます。それが、ビジネス知識でなくても構いません。

 

新卒研修はかなりきつい

地頭がよく、多彩な100人の新入社員は、入社後にみっちりと新人研修を受けます。

研修内容は大きく2つに分けられます。
①スキル研修
②グループ研修

①スキル研修では、エクセル・パワポなどのコンサルティングに必須のツールの使い方、会計の基礎知識、思考法などを学校の授業のような形式で習います。基本的には夜8時くらいには終わるので、楽勝の日々です。

②グループ研修は、グループで架空の会社のコンサルティングを行います。
このグループ研修がえぐいです。5人で1グループとなり、上司役やクライアントの社員役を務める先輩もつきます。
架空の会社の資料を読み込み、グループで議論し、上司役に激しくダメだしされ、クライアントにヒアリングし(クライアントにぼろくそに怒られる)、ヒヤリングや議論の結果をもとにパワポ資料を作り、最後にはクライアントの社長役にプレゼンします。
この過程で、思考力、議論力、資料の作り方、プレゼンの仕方、先輩とのコミュニケーションの取り方、ビジネスマナーなどを学びます。上司役、クライアント役の先輩社員にぼろくそに怒られながらの研修なので、非常に疲れます(笑)

特に、「明日の昼間に最終プレゼン」といった、日にちをまたぐグループワークの場合は、ほとんどの人々が徹夜します。
また、新入社員は皆学歴が高く頭がいいので(というか、はっきり言って、プライド高い人多い)、自分の知識不足で主導権を握れない場合にフラストレーションがたまり、険悪な雰囲気になったりもします。

研修の最後には、新入社員全員でシンガポールに行き、五日間ホテルにこもってこのグループディスカッションを行いました。

このような研修を3—4か月おこなうと、今までコンサルティングと無縁の生活を送っていた新入社員にもかなりのコンサルスキルが身に付きます。

 

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)開始

4か月目あたりから、新入社員は徐々に現場に出ていきます。OJTの始まりです。

いきなり現場に出されて(しかも、クライアントが超有名で怖そうな会社だった)、私も最初はとっても怖かったのですが、意外とどうってことなかったです(笑)先輩方にぶちのめされることもなく、バリューを出すことが出来たのは、4つの理由があります。

「メンター」が助けてくれる

現場では、「メンター」がつきます。
メンターは、常に私の成果物をレビューして、アドバイスをくれます。
最初の頃は、メールを1通書くのにも、メンターが確認してよりよいメール文に訂正してくれていました。
研修で習ったパワポスキルを最大活用してつくった資料をメンターが片っ端からレビューしてくれます。

コンサル業界の「レビュー」は、最強だと思います。
私はコンサルティング業界からスタートアップの会社に転職しましたが、コンサル業界の徹底的なレビューが恋しいです。。。

そんなメンターのレビューがあるため、大惨事になることはありません。
だからこそ、リラックスして仕事もできますし、少々大胆な意見等もメンターに打ち明けることもできます。

 

全てのコンサルタントが神ではない。自分が出せるバリューを出すべし。

外資系コンサルタントというと、みんな全知全能の天才のような気がしますが、そうではありません。
新入社員以外にも、四苦八苦しながら働いている先輩コンサルタントもたくさんいます。
特に、日本の事業会社から、外資コンサルに転職した先輩などは、新卒社員と比べて「コンサル用の研修」をきちんと受けていないので、かなり大変な思いをしているようでした。

新卒の社員は、研修で学んだことを、他社から転職してきた先輩に教えたりして、意外なところで感謝されたりもします。
優秀な先輩コンサルタントを見て、「自分だけができてない」と思ってしまいがちですが、案外自分だけ未熟なわけではない場合もあります。恐れずに、自分ができることをこなせば、それなりのバリューを出すことが出来ます。

 

圧倒的な単純作業でバリューを発揮

チームでコンサルティングを行いますが、業務の過程で、つまらない単純作業をしなければいけない場面があります。

例えば、「Aということを分析したいけれども、Aの情報が紙媒体だから分析可能なデータがない」という場面があります。
その場合は、Aのデータを作るところからのスタートです。紙に書いてあるAの情報をひたすらエクセルに打ち込みます。ひたすら単純作業をします。当然、このような仕事は一番下っ端の新入社員に回ってきます。

これこそ、新入社員のバリューです(笑)絶対に誰かがやらなければいけない単純作業をすることで、チームがスムーズに業務を進める手助けになります。また、情報を打ち込んでいる過程で、「ここに問題があるんじゃないのか?」「これはどうしてこうなっているんだろう?」といった疑問が浮かぶこともあります。数字の統計を見るだけでは気づかないような、細かい疑問が実は問題解決に非常に重要な場合もあります。こうして、単純作業でバリューを出しながら、コンサル独自の問題解決力も少しづつ養っていく。これが新入社員の成長の過程だと私は思っています。

 

誰も知らない分野は、先輩方と同じスタートラインで仕事する

コンサルティングでは、さも、「僕たちは何でも知っています。なんでも聞いてください。」というスタンスで仕事をしているのですが、実際には知らないこともたくさんあります。チームの中に、「この分野には強い人が1人もいない」という状況もあります。

こういう場合は、他の部署のプロを探してその人のアドバイスをもらったり、全く知らないことを自分で調べたりしながら業務を進めます。そうなったら、新人でもパートナー(一番偉い人)でも知識に大した差はありません。

この状況こそ、新入社員が先輩同様orそれ以上のバリューを出すチャンスです。一生懸命調べて、知らないことを学びながら、何かしらの結果・結論を導き出します。そうすると、次回からは、「この件にはこの人が詳しいよ」とその分野のプロとして認識されるようになります。

私も、プロジェクトの中で、チーム誰もやったことのない業務を一人で任されました。(プロジェクトが炎上していて、私しか空いている人がいなかった)チーム外の人と連絡を取りながら、なんとか分析・資料作成まで完成させました。この件は非常に評価されました。

誰も知らない分野でこそ、新入社員はバリューを出せるのです。

 

 

結論:新卒社員でも、チームで仕事をすれば、きちんとバリューが出せる

一見、新卒のコンサルタントは全くビジネス経験がなく、他の会社のコンサルティングなどできそうにないと思われがちです。確かに、入社当日から「この会社一人でコンサルしてね」と任されても、全くバリューは出せません。(あ、でも、外資コンサルの新卒の中にはリアル天才もいるから、その人たちはしっかりバリュー出せるかも。。。)

しかし、新人研修をしっかりこなし、現場でチームとしてやるべきことをしっかり行えば、コンサルタントとしてバリューを出すことは可能です。そして、バリューを出そうと努力していけば、圧倒的に成長することも可能です。

おそらく、このブログに来ている人の中には、新卒でコンサルティングファームに入社したい or 入社が確定している人もいる思います。「こんな私にコンサルタントがつとまるかな?」と心配している人もいると思います。しかし、そんな心配はしなくて大丈夫です。もし、あなたがコンサルティングファームに合格したのならば、その素質があると認められたわけです。それならば、きちんと努力すれば、求められているバリューを発揮することが出来ます。

以上が、私の見解です。
外資コンサルと聞くと、「格が違う」とビビる人もいますが、実際には努力の積み重ねでバリューを出していくだけです。
もし、あなたが学生で、コンサル業界に興味があるならば、ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。
一生ずっと、勤め続けたい会社ではないかもしれませんが、間違いなく成長できる会社ですよ!

おしまい!